April 12, 2024

ピークか、一時停止か?

ピークか、一時停止か?

ピークか、一時停止か?

2017年以降、50%以上上昇した異常災害(CAT)財産保険の再保険料率は、2024年の更新で落ち着きを見せた。今後の傾向は再保険の購入者の間でも意見が割れているが、次の改定で値下がりするとの予測は10%以下である。

必要なリセット

再保険会社は、長年の低収益のあと過去5年間にわたり異常災害(CAT)財産保険の再保険料率を上昇させてきた。しかし2023年1月1日は、「価格リセット」の瞬間として人々の記憶に残るだろう。また再保険会社は、”日常的に発生する”災害の一部をセカンダリー・ペリルに含めて捉え、発生頻度のリスクを保険会社に差し戻し、アタッチメント・ポイントの引き上げを主張している。

予測の変化

2024年度の損害再保険調査の事前回答によると、料率が更に上がる(「全体的にハード化する」等)と予測するCAT再保険の購入者は、たった3分の1であった。1年前の同回答は、ほぼ4分の3だったことから見て、半分以下に減ったと言える。

“将来の価格予測は、新規ポートフォリオの実績、リスクの見通し、再保険会社およびブローカーの意見を総合して出される”

約3分の1の購入者が、料率アップは利益率および損失発生率の低い分野に限られると考えており、CAT再保険の価格がピークに達したと考える購入者と同程度の割合を占めている。

しかしながら、これらの割合は値下げ予測が広く支持されていることを示すわけではない。実は正反対で、CAT財産保険の価格がソフト化すると予測する購入者は10人に1人もいないのだ。つまり、CAT再保険価格がより恒久的に上昇する(「変わらない」)必要性が受容されていると言えるだろう。

添付 1 – ひと休み

グローバルでは、次の価格改定でCAT財産保険の料率がハード化すると予測した回答者は62%であり、前年度の88%から数値を下げた。2024年4月1日に向けて、日本のポートフォリオの料率ハード化の予測は過去5年で最も低いレベルまで下がった

日本における料率改定、主な指標

日本では一年前、1月1日の厳しい料率改定を受けて、エクスポージャーに対しCAT再保険価格の全体的なハード化が確実視されていた。

その後2024年4月1日の改定の最終決定直前には、日本のCAT再保険の購入者は依然として値上げを予測しつつもより穏やかな見通しを持ち、利益率の低いあるいはマイナスな分野に集中するであろうと考えた。

2024年4月1日の最新の改定は、需要と供給の健全なバランスが取れたより秩序あるプロセスとなり、料率レベルはほぼ変わらなかった。

日本のCATエクスポージャーに対する料率の動きの予測は、順当だったと言える。

今後の見通し

再保険会社 – これから数年で、異常災害(CAT)財産保険の価格に対応する環境は、多くの理由からよりに盤石になると考えられる : より高いアタッチメントポイント、より良いデータ、改良されたCATモデルや気候変動の不確実性レベルにより、引受審査のルールや合理性の水準は上がるであろう。とは言え、一度でも手を緩めると「かつての悪い傾向」に逆戻りしてしまうであろうことは歴史が示している。専門家の意見は分かれている。

保険会社 – 再保険コストと期待コストの上昇を、自己保有の引き上げによりやり過ごすのは明白なリスクがある。そのような保険会社は、保持したリスクによる支払い見積もり額の真の重大さを理解できていない、あるいは理解しようとしていない、あるいは気付いてもいない。コスト上昇に対して保険会社が万全に取り組むと言う保険会社は3社に1社のみであり、将来的に苦しい状況になることも考えられる。

損害再保険業界に関する弊社のグローバルな分析は、保険会社幹部および再保険ブローカーからのフィードバック(2024年度の損害再保険調査: 2024年2月から3月の事前回答)を元に作成した。当調査には、再保険料と補償に関する最新動向や、2024年第 1 四半期の改定を受けた再保険価格の見通しなどが含まれる。


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