エンゲージメントの新時代における関係構築

この記事は、グローバルな資産運用業界における証拠と観察に基づいて作成されています。この考察は、今まで対面によるエンゲージメントを通じて企業間関係をサポートしてきた他の業界にも、同様に当てはまる可能性があります。 ターゲット顧客をクライアントに変えるには、一般的に信頼の育成、特に期待される価値をもつ製品とサービスを提供するサプライヤーへの信頼にかかっています。競争の激しい資産運用業界において、信頼の構築は元来、資産運用会社との個人的なつながりを提供する対面(「F2F」)のやりとりによって支えられてきました。対面のやりとりは、投資哲学と投資能力の説明、サービスの調整、および説明責任の提供において重要です。 しかしパンデミックで対面によるやりとりの規範が変わり、信頼構築のプロセスも影響を受けました。 顧客の好みのプロファイルの出現 14か国の3,000人を超える投資専門家(機関投資家、資産コンサルタント、リテールファンドバイヤー、ファイナンシャルアドバイザー)に対して、今後の方向性に関する質問を実施した結果, [1]将来的なエンゲージメントに関する好みのスタイルに基づいて顧客プロファイルを3つ(「個人」、「バーチャル」、「ハイブリッド」)に区分できることが明らかになりました。また顧客層ごとに、各プロファイルの占める相対的な割合を算出しました(図1を参照)。 図1:資産管理者別にみるエンゲージメントプロファイルの割合 どのプロファイルも重要ですが、対象者や国によって占める割合が異なります。 資産運用の専門家達における「個人」プロファイル(対面および個別のビデオ通話を好む層)の割合は、国や文化によって最も大きく差があり、「資産コンサルタント」に最も多く(資産運用会社と綿密なデューデリジェンスを実施するコンサルタントのバリュープロポジションと一致)見られます。「資産コンサルタント」以外の専門家達の間では、「個人」プロファイルの占める割合はほぼ一定です。 「オンラインミーティングが主なコミュニケーションになりましたが、特に初期のコミュニケーション手段としては、対面のミーティングが好みです。」 (日本の金融機関の意思決定者) 「バーチャル」プロファイル(セルフサービス型でオンラインを利用し、リモートでのエンゲージメントを好む層)は、ファイナンシャルアドバイザーに最も顕著に見られます。グローバルのアドバイザーの3分の1は、高度に仮想化されたセルフサービス型のアプローチを好んでいます。これは効率的ですが、資産運用会社が(クライアントではない)特定のアドバイザーとの信頼関係を強化、転換させるには、課題があると言えます。 「すべてのリソースを利用できる関連Webサイトに、ワンクリックで簡単かつ迅速にアクセスできると良いと思います。」 (カナダのファイナンシャルアドバイザー) 「ハイブリッド」プロファイルは、全ての対象層と地域において最も大きな割合を占めています。ハイブリッドの意思決定者は、関連する価値とその価値に伴うエンゲージメントの好みのスタイルに応じて、ケースバイケースで個人あるいはバーチャルプロファイルを選択しています(図2を参照)。 「経験上、ビデオ通話には肯定的です。今後は使用が増えると思います。出張を減らすため、対面の会議はどんどん少なくなるでしょうが、毎年1回の対面のマネージャー会議は必要だと思います。」 (米国金融機関の意思決定者) 図2:「ハイブリッド」の金融機関の意思決定者:コミュニケーションのタイプ別にみるエンゲージメントのスタイル エンゲージメントの調整を支える要因 資産運用会社からのフィードバックによると、現在のエンゲージメントの形はパンデミック後の対面のやりとりに対する需要の高まりからさまざまに変化し、微妙な違いを生んでいます。このような変化は、先に述べた「バーチャル」あるいは「ハイブリッド」のプロファイルに沿った顧客と見込み客のリモートエンゲージメントの好みのスタイルで調整されています。

エンゲージメントの新時代における関係構築 Read More »

Scroll to Top